XP-PENの液タブとiPad Proの機能比較

XPPen・クリスタ情報

XP-PEN 液タブ vs. iPad Pro:クリエイター向けデバイス比較

XP-PENの液タブとAppleのiPad Proは、どちらもデジタルイラストレーションやデザイン制作において強力なツールとして人気があります。しかし、それぞれに得意な分野と特徴があり、クリエイターのワークフローや予算、使用環境によって最適な選択肢は異なります。本稿では、両者の主要な機能、使い勝手、そしてその他の比較ポイントを掘り下げ、クリエイターが自身のニーズに合致したデバイスを見つけるための一助となることを目指します。

ハードウェア仕様の比較

ディスプレイ

XP-PENの液タブは、モデルによって様々な画面サイズと解像度を提供しています。例えば、Artistシリーズでは15.6インチや21.5インチといった大型モデルも選択肢にあり、より広大なキャンバスでの作業が可能です。解像度もフルHD(1920×1080)から4K(3840×2160)まで幅広く、細部まで鮮明に描き込めます。色域カバー率も90% NTSC以上を謳うモデルが多く、忠実な色彩表現が期待できます。一方、iPad Proは、11インチと12.9インチの2サイズ展開で、いずれもLiquid Retinaディスプレイを採用しています。12.9インチモデルはミニLEDテクノロジーを搭載し、高いコントラスト比とピーク輝度を実現しています。ProMotionテクノロジーにより120Hzのリフレッシュレートに対応しており、滑らかな描画体験を提供します。色彩表現においてはP3広色域に対応しており、こちらもプロフェッショナルなレベルです。

ペン入力

XP-PENの液タブには、同社独自の「P05」や「X3」といったスタイラスペンが付属します。これらのペンは、数千レベルの筆圧感知と傾き検知機能を備え、鉛筆や筆のような自然な描き心地を実現します。特に「X3」チップ搭載ペンは、より低筆圧での感知や、より速い応答速度を特徴としています。

iPad Proには、「Apple Pencil(第2世代)」が対応しています。このペンも、非常に高い筆圧感知と低遅延を実現しており、iPadOSのシステムレベルで最適化されているため、非常にスムーズで直感的な描画が可能です。傾き検知はもちろん、ホバー機能(ペン先が画面に触れる前に認識する機能)にも対応しています。

処理性能とストレージ

XP-PENの液タブは、単体で動作するデバイスではなく、PCやMacに接続して使用することを前提としています。そのため、処理性能やストレージ容量は、接続するPC側のスペックに依存します。高性能なPCと組み合わせることで、重いブラシや複雑なレイヤー構成のイラストも快適に制作できます。

iPad Proは、Apple独自の高性能チップ(M1、M2など)を搭載しており、単体で高度な処理能力を発揮します。App Storeで提供される様々なドローイングアプリ(Procreate, Clip Studio Paintなど)を快適に動作させることができ、ストレージも最大2TBまで選択可能です。これにより、PCなしでどこでも本格的な制作活動ができます。

携帯性

XP-PENの液タブは、PCとケーブルで接続する必要があり、電源も外部から供給されることが一般的です。そのため、持ち運びにはある程度のスペースと電源環境が必要となります。一方、iPad Proはバッテリー駆動で、単体で動作するため、非常に高い携帯性を誇ります。カフェや移動中など、場所を選ばずに制作ができるのは大きなメリットです。

ソフトウェアとエコシステムの比較

描画アプリケーション

XP-PENの液タブは、PC/Macにインストールされた様々な描画ソフトウェアと組み合わせて使用します。Adobe Photoshop, Illustrator, Clip Studio Paint, Krita, SAIなど、PCで利用できるほとんどのプロフェッショナル向けソフトウェアに対応しています。これにより、既存のワークフローをそのまま活かすことができます。

iPad Proは、App Storeからダウンロードできる専用アプリが豊富です。中でも「Procreate」は、その直感的なインターフェースとパワフルな機能で、iPadでのイラスト制作の定番となっています。また、「Clip Studio Paint」のiPad版や、「Adobe Fresco」など、プロフェッショナル向けのアプリも充実しています。これらのアプリはiPadOSに最適化されており、Apple Pencilとの連携が非常にスムーズです。

OSと連携

XP-PENの液タブは、WindowsまたはmacOSと連携して動作します。ドライバのインストールや設定が必要ですが、一度設定が完了すれば、PCの全ての機能を液タブ上で利用できます。

iPad Proは、iPadOSという独自のオペレーティングシステムで動作します。iOSをベースに、マルチタスク機能やファイル管理機能などが強化されており、PCライクな操作感も向上しています。Appleのエコシステム(iCloud, AirDrop, Handoffなど)との連携が非常に強力で、iPhoneやMacとのデータ共有や作業の引き継ぎが容易です。

使い勝手とワークフローの比較

作業スタイル

XP-PENの液タブは、PCモニターを見ながら手元で描くという、従来のデッサンに近い感覚で作業できます。画面に直接触れるため、より自然な感覚で線や色をコントロールできます。PCの強力な処理能力を活かせるため、大規模なプロジェクトや、複雑な効果を多用する制作に向いています。

iPad Proは、画面に直接描くため、直感的で没入感のある制作体験が得られます。特にProcreateのようなアプリは、操作がシンプルで学習コストが低いため、初心者からプロまで幅広く使われています。携帯性を活かして、アイデアスケッチを外出先で行い、自宅のPCで仕上げる、といったハイブリッドなワークフローも可能です。

初期投資とランニングコスト

XP-PENの液タブは、モデルによって価格帯は異なりますが、同等サイズのiPad Proと比較すると、一般的に初期投資を抑えやすい傾向があります。ただし、高性能なPCが別途必要となるため、総額では高くなる場合もあります。ソフトウェアも買い切り型またはサブスクリプション型で、PC向けのものを使用するのが一般的です。

iPad Proは、本体価格が高価であることが特徴です。しかし、高性能なチップを内蔵しており、単体で動作するため、別途PCを用意する必要はありません。App Storeのアプリは、買い切り型が多いですが、一部サブスクリプション型のものもあります。Apple Pencilも別途購入する必要があります。

周辺機器との連携

XP-PENの液タブは、PCとの接続が主となるため、PCに接続できる様々な周辺機器(キーボード、マウス、外部ストレージなど)との連携が容易です。ショートカットキーを割り当てられるファンクションキーが搭載されているモデルもあり、作業効率の向上に貢献します。

iPad Proは、Apple Pencil以外にも、Smart Keyboard FolioやMagic Keyboardといったキーボード、USB-Cポートを介した外部ストレージやディスプレイとの接続が可能です。iPadOSの進化により、PCライクな操作性が向上しています。

まとめ

XP-PENの液タブとiPad Proは、それぞれ異なる強みを持つクリエイター向けデバイスです。

XP-PENの液タブは、既存のPC環境を活かし、より大規模な制作や、PCの強力な処理能力を必要とする複雑なプロジェクトに適しています。PCの豊富なソフトウェア資産をそのまま利用できる点、そして初期投資を抑えやすいモデルがある点が魅力です。PCを既に所有しており、より広い制作領域を液タブでカバーしたいクリエイターにおすすめです。

一方、iPad Proは、単体で完結する高度な制作環境を求めるクリエイターや、携帯性を重視する、あるいは外出先での制作を頻繁に行うクリエイターに最適です。ProcreateをはじめとするiPadOS専用アプリの快適さ、そしてAppleエコシステムとのシームレスな連携は、iPad Proならではの体験を提供します。

最終的な選択は、ご自身の制作スタイル、使用するソフトウェア、予算、そして「どこで」「どのように」制作したいのかという点を総合的に考慮して決定することが重要です。両者を比較検討し、あなたのクリエイティブな活動を最大限にサポートしてくれるデバイスを見つけてください。