イラスタ(IllustStudio)の機能はクリスタでどこ?

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イラスタ(IllustStudio)の機能とCLIP STUDIO PAINT(クリスタ)での対応について

IllustStudio(イラスタ)は、かつてセルシスが提供していたイラスト・マンガ制作ソフトウェアです。その機能の一部は、後継ソフトウェアであるCLIP STUDIO PAINT(クリスタ)に引き継がれ、さらに進化を遂げています。ここでは、イラスタの代表的な機能がクリスタでどのように再現されているか、また、クリスタならではの機能について詳しく解説します。

イラスタの主要機能とクリスタでの対応

イラスタには、イラスト制作を効率的かつ高度に行うための様々な機能が搭載されていました。クリスタは、これらの機能を継承しつつ、より洗練されたインターフェースや新たな表現力を提供しています。

① ペン・ブラシ関連機能

イラスタの強みの一つは、その多彩なペン・ブラシ設定でした。特に、鉛筆、ペン、マーカー、水彩、油彩など、様々な画材の質感を再現できるブラシエンジンは高く評価されていました。

クリスタでは、このブラシエンジンがさらに進化し、「ブラシ先端形状」「テクスチャ」「厚塗り」「ぼかし」「エッジ」などの項目が細かく設定できるようになっています。イラスタで作成したカスタムブラシも、一部互換性がある場合や、クリスタのブラシ設定で近いものを再現することが可能です。

さらに、クリスタでは「サブツール詳細」パレットが非常に強力で、筆圧感度、傾き、回転などの筆圧情報に加えて、速度や時間経過による変化なども設定できます。これにより、イラスタでは実現できなかった、より複雑で繊細なタッチのブラシを作成することが可能です。

② レイヤー機能

イラスタでもレイヤー機能は充実していましたが、クリスタではさらに機能が強化されています。「クリッピングレイヤー」「レイヤーマスク」「透過レイヤー」「基準線レイヤー」といった基本的な機能はもちろんのこと、クリスタでは「効果レイヤー」(例:トーン化、ぼかし、色調補正など)や、「フォルダ」内のレイヤーをまとめて管理・編集する機能がより使いやすくなっています。

また、クリスタの「ベクターレイヤー」は、イラスタのそれよりもさらに高機能です。線の太さや形状を後から自由に変更できるだけでなく、「線の修正」ツール(例:線の太さを変更、線の角を丸める、線の開閉、線の延長・短縮など)が非常に充実しており、ラフスケッチから清書まで、一度描いた線を何度でも調整できるのが魅力です。

③ パース定規・直線定規・対称定規

イラスタでも、正確なパースや直線を引くための定規ツールは提供されていました。クリスタでは、これらの定規ツールがより洗練され、使いやすさが向上しています。

「パース定規」では、一点透視、二点透視、三点透視に加え、「魚眼パース」といった特殊なパースも設定できます。また、定規にスナップする機能も強化されており、描画時に意図しない線が引かれるのを防ぎ、正確な作画をサポートします。
「直線定規」は、マウスやペンタブレットの操作に左右されにくい、滑らかな直線を引くのに役立ちます。「対称定規」も、キャラクターの左右対称な描写などを効率化できます。

④ マンガ制作機能

イラスタはマンガ制作にも注力していましたが、クリスタはそれをさらに発展させています。

「コマ割り」機能は、クリスタで非常に強力です。定規ツールを組み合わせて自由な形状のコマを作成できるだけでなく、「コマ枠フォルダー」として管理することで、コマ内のレイヤーをまとめて編集したり、コマのサイズや形状を後から変更したりすることが容易です。

「フキダシ」ツールも、多様な形状のフキダシを簡単に作成・編集でき、「テイル」(吹き出しの尻尾)の形状や位置も柔軟に調整可能です。

「トーン」素材は、クリスタの標準素材として非常に豊富に用意されています。これらをレイヤーに貼り付け、「トーン化」機能で加工することで、手軽にマンガらしい表現が可能です。また、「スクリーントーン」をベクターレイヤーに変換して編集することもでき、より高度な加工も行えます。

「3Dデッサン人形」は、クリスタのマンガ制作を強力にサポートする機能です。様々なポーズの人形を配置し、それを参考にデッサンを行うことができます。カメラアングルや光源も調整できるため、複雑なポーズや構図の練習に最適です。

⑤ テキスト・フォント関連機能

イラスタでもテキスト入力は可能でしたが、クリスタではより高度なテキスト編集機能が搭載されています。「テキストツール」は、フォントの種類、サイズ、色、配置などを細かく設定できるだけでなく、「ルビ」「縦書き・横書き」「文字間隔・行間隔」の調整も可能です。

特に、マンガ制作においては、セリフの入力やフキダシへの自動配置機能が便利です。また、「クリッピングマスク」「レイヤーマスク」と組み合わせることで、文字にテクスチャを適用したり、文字の一部を隠したりといった高度な演出も容易に行えます。

クリスタならではの追加機能と利点

イラスタの機能を継承しているだけでなく、クリスタはさらに多くの革新的な機能を追加しています。

① アニメーション機能

クリスタの最大の特徴の一つは、「アニメーション制作機能」です。フレームアニメーションやセルアニメーションを制作でき、簡単な動きを付けたいイラストから、本格的な短編アニメーションまで制作可能です。

「タイムライン」パレットでフレームごとに絵を管理し、「セル」単位での編集や、「 onion skin 」(オニオンスキン)表示による前後のフレームの確認などが可能です。これにより、イラスト制作の枠を超え、動くイラストやアニメーション作品の制作も一つのソフトウェアで完結できるようになりました。

② 3D素材の活用

前述の「3Dデッサン人形」に加えて、クリスタでは「3D素材」を直接読み込み、それを参考にイラストを描くことができます。建物、家具、乗り物などの3D素材を配置し、好きな角度から見たり、光源を設定したりすることで、複雑な背景やオブジェクトを正確かつ効率的に描くことが可能です。

また、3D素材から「下絵・線画抽出」を行うこともでき、3Dモデルを元にした線画を生成することも可能です。

③ 豊富な素材とクラウド連携

クリスタは、「素材サイト」で提供される3D素材、テクスチャ素材、ブラシ素材、パターン素材などが非常に豊富です。これらの素材をダウンロードして活用することで、制作の幅が大きく広がります。

また、「CLIP STUDIO ASSETS」というクラウドサービスを通じて、ユーザー同士で素材を共有したり、自分の作成した素材を公開したりすることもできます。

④ パフォーマンスと互換性

クリスタは、イラスタと比較して、ソフトウェアの動作速度や安定性が向上しています。特に、大量のレイヤーや複雑なブラシを使用する場合でも、比較的スムーズに動作します。

また、ファイル形式の互換性も考慮されており、PNG、JPEG、PSDといった一般的な画像フォーマットはもちろん、PSD形式でのレイヤー構造の保持や、他のペイントソフトとの連携もスムーズです。

⑤ クロスプラットフォーム対応

クリスタは、Windows、macOS、iPad、iPhone、Android、Chromebookなど、様々なプラットフォームで利用可能です。これにより、場所やデバイスを選ばずに、自分の制作環境に合わせて作業を行うことができます。

特に、iPad版やスマートフォン版は、携帯性に優れており、外出先でのアイデアスケッチや簡単な作業にも活用できます。

まとめ

IllustStudio(イラスタ)の機能の多くは、CLIP STUDIO PAINT(クリスタ)に引き継がれ、さらに洗練されています。特に、ブラシエンジン、レイヤー機能、マンガ制作関連機能などは、クリスタでより強力かつ使いやすくなっています。

さらに、クリスタはアニメーション制作機能、3D素材の活用、豊富な素材サイト、クロスプラットフォーム対応など、イラスタにはなかった多くの革新的な機能を提供しており、イラスト・マンガ制作の可能性を大きく広げています。

イラスタユーザーであれば、クリスタに移行することで、これまで以上に快適で高機能な制作環境を手に入れることができるでしょう。